【ファイターズ語りたいブログ】HamFan★応援歌

日本ハムファイターズ大好き!そしてパ・リーグ大好き女子による語りです。

【Fighters】FA期限間近。中田翔について語りたい。

 シーズン終了間際に書きかけで放置しておりましたものを、加筆修正。


 あれは確か、梨田政権下のことだったと思います。
 開幕前に某番組名物の稲葉・金子対談を観ていたら、二人が開幕オーダーを予想していました。当時は今ほど金子現コーチの天邪鬼っぷりを理解していなかったこともあり内容をはっきりとは覚えていないのですが、稲葉さまの言葉はとても印象に残っています。一番は糸井選手(だったはず)という予想をした後「二番が居ないんだけど……まあ、俺が打ってもいいかなとか思ってるんだよね。四番はまあ外国人に打ってもらって。」
 すでに四番としての実績があった稲葉さまでしたが、細かい所作を求められる二番には誰が座るべきかを相対的に考えた結果、二番・稲葉を提唱してみようという旨の発言でした。これには金子コーチも「まあそうなんだけど」といったリアクションだったかと。
 でも、わたしの印象に残っているのはそこではないんです。
 「四番は外国人に打ってもらって。」
 前にもどこかに書いたことがあるかもしれませんが、わたしは小さい頃から野球を観る習慣があり、幼い頃は巨人ファンでした。ついでに言うと高橋由伸現監督が大好きでした。高橋監督が二年目に、松井秀喜選手の怪我などもあって初めて四番に座った時、「第66代四番打者」という響きが何だかとても格好良いものに思えて、それが1999年だったこともあり「このまま新しく四番に座る人が居なかったら由伸が20世紀最後の四番打者?!」なんて、学校の先生に言っておりました。わたし、無邪気だったなあ・・・笑。
 そんなわけでわたしにとっての四番打者は「第●●代」なんて大仰に数えるものでありましたので、稲葉さまが、おそらく何の気もなしに発した言葉がそれなりの違和感をもって耳に届いたのです。
 固有名詞ですらない「外国人」に、「打ってもらって」。
 「第●●代四番打者」なんて数え方をするのが巨人だけというのは後から知りましたし、昔から外国人選手が「助っ人」と呼ばれてきたことにはそれなりの理由もあるのでしょう。
 ほんの数年前まで、ファイターズの四番はそういうものだったんですよね。
 六年前、栗山監督が就任された時にこう仰っていましたよね。「この先10年、誰が監督をやったとしてもオーダーを書く時に困らない四番打者の存在を作ることが自分にとって使命の一つである」と。その時には10年なんて大袈裟なと思っていましたけれど、気付けばもう折り返しの六年目。
 中田翔の存在が、「ファイターズの四番」を変えた。少なくともわたしはそう思っています。

 

 「四番は外国人に打ってもらって」という言葉は数年後「ウチの四番は翔だから」に変わっていました。稲葉さまが引退した2014年、開幕から四番に座った中田選手はまったく調子が上がらず、「やはり四番を任せるのは尚早」との批判がご本人や栗山監督に向けられたとき、2000本安打に向けて絶好調だった稲葉選手が発した言葉が「ウチの四番は翔だから」です。しっかりとした結果を残されていた稲葉さまが発した言葉で、批判の言葉も一気に収まったと記憶しています。引退セレモニーでの言葉、「最後に、中田翔のことをよろしくお願い申し上げまして、引退の挨拶とさせて頂きます。」について、最近どこかで(侍Jの映画だったかな・・・)でも言及されていましたけど、稲葉さまの中ではあの言葉に微塵も後悔はないのでしょう。
 そして、ダルビッシュ投手がファイターズを離れる時の言葉、「(期待する選手は、との質問に)中田ですね。やっぱりあいつが打って勝っていくようなチームにならないと」も、覚えている方は多いかと。

 稲葉さまの言葉がもう、三年前ですか。
 ご存じの通り、今季は何度から四番を外れることもありました。代わりに四番に座ることが一番多かったのはレアード選手かなと思いますが、そのレアード選手も、「自分はあくまで代役。ウチの四番は翔だから」といった発言をされていた旨、レポートされていた記憶があります。
★中田選手以外の四番打者★
4月 レアード10
6月 レアード6
7月 レアード17、大谷1
8月 大谷7
9月 レアード3

 わたしは自分で野球をしたことはありません。もしかしたら、「四番打者」という存在に、過剰な憧憬を抱いているのかもしれません。
 何よりも楽なのは、「どうせダメだろう」と最初から諦めること。結果に無関心であること。
 野球選手への信頼は、もしダメだった時に一緒に傷つく覚悟を持って「信じる」こと。この人でダメなら仕方ないと納得できること。……と、いつも思っています。

 プロ野球選手は夢のある職業で、試合に出られるのはほんの一握りで、まして栄えある四番打者に……その場所に立っているならどんなに野球が楽しいだろうな、と、小学生くらいのわたしなら思ったかもしれません。しかし今思うのは、「結果が出ても出なくても、その場所から逃げられないというのはどんな気持ちだろう」ということです。
 悔しいでしょう、不甲斐ないでしょう、無責任な周囲の声は煩い、それでも明日の試合は待ってくれない……もし仮に自分がそんな場所に立っていたならと考えるだけで寒気がします。
 そんな場所に立っているのが、中田翔という人なのでしょう。

 4番を外れるだけでトピックスに上がる人もそう多くないですよね。
 栗山監督が中田選手をファイターズの4番に育て上げ、また、ファイターズの4番であることから逃げられなくしたんです。

 いつまでこの人に縛られるんだろう、とも、今季は思いました。栗山監督は、特別な理由がなければ中田翔を四番に置き続けるだろうと。チャンスで回るたびに、不調なのをわかっていても期待して、そして、凡退。「翔さんは空振り三振も絵になるね!」なんて強がってはみても、果たしてその三振が今の全力ですか?今できる全ての感覚を総動員した打席でしたか?と、問いかけたくなる日もありました。
 一塁までが全力に見えない日もありました。思わずスタンドから「ちゃんと走ってよ!」と叫んだ日も、ありました。

 でも、この人を失ったらまた、ファイターズの四番は「外国人にでも打ってもらって」に戻るんでしょうか。(レアード選手は「外国人」扱いはしていません笑)
 試合中はよくツイッターを見ていますけど、心ない暴言を吐く人は札幌ドームで中田選手が打席に立った時の声援の大きさをご存じないのかなと思います。
 自然とその名を呼んでしまう、どんな状況でも一縷の望みを託してしまう、それが「精神的支柱」じゃなくて何なのでしょう。

 WBCのとき4番に座った中田選手に結果が伴わなくて、中畑さんなんかは「4番の重圧だ」なんて言ってましたよね。
 「んなわけねーだろ」と思いましたよ。重圧なんか、もう吐きそうなほど慣れているでしょうと。

 球場で応援しているとき、中継で試合を観ているとき。
 いつも「応援団のみなさまには頭が下がるな」と思います。思ったことありませんか?
 細かいことは置いておいても、いつも、どんなに劣勢でも最後の最後まで勝利を諦めることなく、声を張り上げ、選手を鼓舞し、楽器を演奏し続けているんです。
 その応援団の方たちが、今季、不調の最中にあった中田選手に、稲葉さまのそれをアレンジした「中田ジャンプ」を用意し、「お前が必要 中田翔」の横断幕を作り、以降の全ての試合にそれを携行し、勝ち試合の二次会で「お前が必要!中田!!」のコールをしているのです。
 北海道だけではありませんでしたよ。


 中田選手は今季、FA権を取得されています。
 もうすぐ期限が来ますから、近日中にこの騒動は何かしらの結末を迎えるでしょう。
 「ファイターズの四番は翔だから」チームに尽力してきた人達がそう言い、逃げ場なんてなかったでしょう。結果が出なくてバットを折ることがあっても、怪我で数試合スタメンを外れることがあっても、この6年間、ずっとその場所で踏ん張ってくれたと考えれば些細なことです。もう、誰かがそう簡単に座れる場所では、なくなってしまったんです。
 もし、居なくなったなら新しい4番の形が、チームの形が出来ていくんでしょう。土台から全てを作り直して……。
 中田翔を失ったときにファイターズが失うものは、25本くらいのホームランと平均90弱の打点だけではない。それだけは、確かです。

 どうなるかは分かりませんが……。

 わたしにとっての「中田翔」はきっと、大好きなチームの一番大きな柱なんです。
 強い所も弱いところも、未熟なところも、子どもが大好きで綺麗好きで寂しがりやなところも、大好きです。
 いつも中田選手について考える時、今から15年後くらいに、ファイターズから引退する中田選手を「MyHERO」で見送って、全身の水分が枯れるくらい泣きたいと思います。
 「お前が必要」何度でも声の限りに叫びます。


 少なくとも、清宮選手が来てくれるから中田選手は要らないなんて言う人には、「ばかじゃねーの?」と言いたいですね。笑

 ファイターズの四番は一日でつくられるものではありません。

 


 ずっとエディタで眠っていた記事ですが、ようやくポストです。